しろばんば

ベランダでコーヒーを飲んでいると、小さな白い虫みたいなものがフワフワ。
一匹じゃなく十数匹がフワフワ。 確信を持って 「匹」 とは言えないほど、
小さなものがフワフワ。 いや、確かに虫だ・・・ひょっとして 「しろばんば」 ? 


しろばんば」 とは、伊豆地方の呼び名で、一般的には 「雪虫
「綿虫」 とも言われ、「トドノネオオワタムシ」 が正式名称。


雪虫と言うぐらいだから、冬場のの虫だろうから、
今頃飛ぶはずも無いと思いつつ、調べてみると、春にも飛ぶ らしい。


さっき見たものが、雪虫であったかどうかはさておき、懐かしい想い出が蘇った。


小学生だったか中学生だったか覚えは無いが、
読んだ本の中で未だに印象に残っているのが、「しろばんば」。
なんとも切ない子供の気持ちが淡々とした文章で綴られて、
ドップリと物語に引き込まれていく感覚が忘れられないでいる。


そのあとに続く井上靖の自伝的三部作の2つ、「夏草冬濤」 と 「北の海」 は
そのうちに読もうと思ってこの歳になってしまっていたが、読んでみようかな…。



20年以上も前の話しだが、ベルナール・ビュフェ美術館へ行ったことがある。
駿河銀行が運営していると聞いたので、三島駅前の支店に立ち寄って場所を聞いた。


「この路を曲がったら、あとはドンドン・ドンドン進んで下さい。
 途中で路が細くなったりしていますが、狸が出てもイタチが出ても、
 迷ったと思わず、ドンドン・ドンドン進んで行って下さい。」


って、可笑しくもあり不思議な説明をする女子行員であった。


「狸が出ても、イタチが出ても、ドンドン・ドンドン進むんですね♪」


と、有難うのお礼と共に銀行を後にして、説明どおりにドンドン進んだ。
確かに途中の路は細くなり、迷ったかな? と思わせる所を通り抜けると、
いきなり整備された路に出て、両側には駿河銀行の社員寮が建ち並び、
駿河銀行消防自衛団」 などと言う建物もあったので、
この辺一帯が銀行の管理地なのかな? と思っていると美術館に着いた。
井上靖文学館」 と並び立つ美術館はなかなか立派なものだった。


僕の店のトイレに飾ってある絵葉書はその美術館で購入して、
額縁屋を営むお客さんに額装してもらったもの。
絵葉書を入れ替えては楽しんでいるが、「本物?」 と尋ねるお客さんも居る。
絵葉書でも額装次第では、立派な美術品まがいになるものだと感じ入る。


思い出の場所を調べてみると、今じゃ立派な施設になっている様子で、
大好きな、ビュフェ。 思い出深い、井上靖。 そこへ持って来て、
超〜〜〜大好きな花、クレマチスの庭まであるではないか!
こりゃぁ〜絶対に再訪しなきゃ! 大好物三点セットを見逃す手は無い。


住所を見たら、<静岡県長泉町クレマチスの丘(スルガ平)> となっている。
駿河銀行は、現在 「スルガ銀行」 となっているが、
住所が 「スルガ平」 とか 「クレマチスの丘」 とか変遷している所を見ると、
あの広大な敷地は、スルガ銀行の開発だったのだろうと想像される。


さすがに今では、「狸が出てもイタチが出ても…」 は無いだろうなぁ〜。