天使と悪魔

nobita7202008-07-02

この歳になっても・・・いい歳こいても・・・未だ心に悪魔が棲む。


火曜日・水曜日と続いた良い天気も、明日からは崩れるらしい。
それも、雷を伴ったり局地的な豪雨になったりとの予報。
週末までの食料品を買い足さなくては…と、昼に買い物へ。
自転車に跨ったら目の前に新聞集金のオバちゃんの姿。


「あらっ、お出かけなの?」
「買い物へ行くんだけど、ココで支払いますわ。
               オバちゃん、一万円だけど釣銭ある?」
「あるある! オマケのゴミ袋は籠に入れとくよ!」
「オバちゃん、ドラゴンズの優待券は要らないよ!」
「7月の連休は、新聞を止めなくても良いの?」


昼食に急ぐ会社員が川のように流れる歩道の真ん中でのやり取り。
「じゃぁ〜、今月もヨロシクぅ〜♪」 と言って別れた。


鍋屋町の商店街で自転車を止めて、籠の中のエコバッグを引き出したら、
一万円札がヒラァ〜リヒラリと道路に舞い落ちた。


「あっれぇ〜っ? 集金のオバちゃんが受け取り忘れたのかな?
それとも新札だったので、一万円を渡そうとした時に2枚あるのに気付き、
余分な一枚を僕自身が無造作に籠に入れたのかな?」


昼休みで大勢の人が行き交う道の真ん中で、急いでの支払いだったので、
チョット前の事とは言え、記憶も曖昧。 さぁ〜て困った。


いやいや、僕が天使なら困る事は無い。新聞配達所の場所は分かっている。
これこれシカジカと申し出て、帰社したオバちゃんに渡してもらえば良い。
しかし僕の心には、「言って来るまで放っておけ。」 
と囁く悪魔が棲んでいたのには、我ながらビックリした。


気の小さい悪魔だったようで、すぐさま消え失せた。
天使に戻った僕は販売店に行って事情を話し、お金を預けた。


あのまま悪魔が住み着いて居たら、支払わなかった1万円に加えて
釣銭で貰った6千円チョットが僕の懐に入った訳で、
その為にこれからの人生を悔いて生きて行くようになるのはゴメン。


買い物から戻ると玄関に集金のオバちゃんが立っていた。
「さっき店から電話があったの。有難うね、助かったわぁ〜!
もらい物なんだけど食べて。」 と渡してくれたのが画像の明太子。 
それも稚雅栄の辛子明太子。 


「オバちゃん、そんなつもりじゃないから…。」 と一度は断るが、
オバちゃんもそれを引こうとはしないから、遠慮なく頂いた。


良い事をしての御礼は美味しく頂けるが、
当たり前の事をして頂き物をするのはとても心苦しい。
ましてや一瞬でも悪魔が囁いた事は恥じ入るばかりであり、
高価な稚雅栄の辛子明太子もホロ苦い味となって僕のお腹に収まったが、
未だに後味が悪くって…。


これから先、辛子明太子を食べる度に今日の日を思い出しそう・・・。