高岳
僕が住む地域は、「高岳(たかおか)」 と呼ばれる。
マンションやビルには、○○高岳とか高岳ビルのような名称が多い。
高岳交差点近くには「高岳院」 と言う寺があり、
戦争で焼失する前は、山門が国宝に指定されていた程の高名な寺だ。
昼頃に保険会社のカスタマーセンターから電話があり、
証書の記載内容に変更は無いか?と尋ねられた。
ビルの所有者が変わり、ビル名が変更になった旨を伝え、
記載内容の変更手続きをする事になり、新名称を申し伝えた。
「高い低いの <高> に、山岳部の <岳> と書いて、<たかおか> です。」
「岡山県の <岡> ですか?」
「いえ、岡山の岡では無く、北岳とか山岳地帯などの岳ですが…?」
「きただけ?」
あれっ? この人、「着ただけ」 とか思ってない?
「あのぉ〜、日本で2番目に高い山の <北岳> の事です。
丘を越えて行くとかの <丘> の下に <山> と書く字ですが…。」
「丘を越えるの丘ですか…?! 兵隊の <兵> ですか?」
「いやいや、兵隊の兵は、丘の下に <ハ> を書きますよね。
あの、ハ の所を <山> と書く字です。」
「<山> の下に <ハ> ですか?」
それ、どんな字やねんっ! <ヤマハ> とでも読ませるんかいっ?!
「いえ、丘の下に山です。」
電話の向こうからは、けたたましくキーボードを叩く音が聞こえる。
何やら文字検索をしているのだと思うが…。
「あぁ〜、ありましたありました。 兵の <ハ> が無くなって、
そこに <山> と書くんですね?!」
<ハ> が無くなって…と言う表現もどうかと思うけど、
そんなに難しい字でも無いだろうし、
そんなに分かり辛い説明もしていないと思うが、
新発見でもしたように、彼女は浮かれた声で応対していた。
コールセンターにお勤めなら、もうチョット漢字を勉強しないとねぇ〜。
地名や人名には難読文字が多いが、読みが難しいのであって、
漢字そのものが難しいケースは希だと思うので、
「○○と書いて、○○と読みます。」 のように答えられた時に、
○○と書いての、○○ の部分は分かるようにしておかなきゃ…。
政権交代で有名になった 「八ッ場ダム」 だって。
読みが <やんば> で難しいが、字は簡単だし、
名古屋の難読地名で、「泥江(ひじえ)」・「水主町(かこまち)」も、
漢字自体が難しいものではない。
北岳は難しかったかも知れないが、山岳部ぐらいは理解してよ。