オリエント急行殺人事件

今更…なんですが、ちょっと確認したい事があって、
1月18日にNHKのBShi で放映された「オリエント…」 を録画した。


今日は日中暇してたので、その、気になる個所をチェック!



話は1930年代の事。
米国で起きた女児誘拐事件に端を発した計画殺人が実行される。
現場は、イスタンブール発ロンドン行きのオリエント急行の車内。



事件を解決すべく捜査を開始したポアロが、一人の女性を尋問。
尋問が終わって部屋から出て行く女性。
後から出て来たポアロに友人のビアンキが尋ねる。


「彼女に、米国滞在の経歴があるかどうかを聞かなくて良いのか?」


「その必要は無い。」 とポアロが答える。



話が進んでポアロが乗客を1つのワゴンに集めて謎解きをする場面。





「貴女は、<長距離電話で弁護士と話す> と言ったが、
 アメリカ英語を知らない人ならば、
 <遠距離電話で弁護士と話す> と言うはず。」




因って米国滞在経験があるはずだ! と言う事をポアロは言いたい訳だが、



上記の日本語訳字幕じゃ分からんでしょ。 無理っしょ!



字幕を無視して原語に耳を澄ませば、


彼女は、長距離電話を 「 Long-distance call 」 と言ってしまった。


当時の英国では、長距離電話は 「 Trunk call 」 だし、


英国では弁護士の種類を、法廷弁護士と事務弁護士に分けていて、


個人的な用向きを処理するのは、「 Solicitors 」 なのだが、


彼女は米国式に、「 Lawyers 」 と言ってしまった。


その恋人である軍人も、煙草パイプの事を 「 ピープ 」 と言い、


フランスに精通している事をポアロに見破られてしまう。



またメイドと言うと、日本では家事全般をこなす家政婦のように思われるが、
当時の英国で言うメイドは侍女と言う意味合いが強く、料理はしない。
料理はあくまでもコックの仕事である。
当時の富裕層は仕事別に使用人を雇っていた訳で、
映画に出て来るメイドだと言い張る女性が、
「料理を褒められる。」 と言ってしまった事から、
メイドでは無く、コックだった事がバレてしまう。




これらの言葉に関する謎解きが多々ある作品だが、


日本語訳字幕で、どこまで伝える事ができるものか…。 無理でしょ。



原語と翻訳にどれだけの乖離が見られるかチェックしたくて録画したけど、
数えきれないぐらい、「この程度で良いだろう…。」 の訳が沢山あった。
これは翻訳者の責任では無く、日本語訳を字幕にする難しさの問題。



作品としての評価に大きな影響は無いのかも知れないけれど、


のび太は釈然としないんだなぁ〜。





オペラや歌舞伎は言葉にこだわる芸術では無いから、
訳語字幕であらすじが分かれば、充分に楽しむ事ができるが、



落語や俳句を他言語に訳して紹介する意味があるのだろうかと思う。



シェークスピアの原文を読みたくて英語を勉強する人が居る様に、
落語で笑いたければ日本語を勉強しなさい。と言うのは極論だろうか…。