時不知

nobita7202008-11-26

「親不知」 を(おやしらず)と読めれば、
「時不知」 が(ときしらず)と読める。


一般的に 「トキシラズ」 と言うと、
鮭の時不知をさす場合が多い。


日本料理では、一つの器に 「走り・旬・名残」 を盛る事がある。
「走り」で季節の到来を楽しみ、「旬」で季節を満喫し、
「名残」で去る季節を惜しむと言った風情ある食し方。


右上画像は、風呂吹き大根に鰆の西京焼きを載せ、伊勢芋をかけた雪仕立て。
大根はこれからが甘味を増す食材で、「走り」。
鰆の旬を春とする処は四国瀬戸内地方で、関東では「寒サワラ」がこれから。
この地方では今が「旬」。10月頃から収穫が始まった伊勢芋が「名残」かな?!


ここの大将と女将さんは若い! 大将だって30歳をチョット超えた所。
でも、仕事も丁寧で研究熱心で、お客さんの小言をスグに反映させる。
先日、僕の店のお客さんを紹介したのだが、そのお客さん曰く、


<料理を頂く楽しみは勿論だけど、あのような研究熱心な若者を見ていると、
お客さんが店を育てる楽しみも与えてくれるので、とても気に入った!>


その事を大将&女将に伝えると、たいそう喜んでいたが、
「そのお客さんが言ったんだけど、料理の繊細さに比べて、
店内やトイレに活けてある花が直線的で料理とのバランスが取れていない。
勿体無いわねぇ〜。」 と伝言したら、翌日には茶花の本を買って来ていた。


「8月にOPENしたばかりで今は忙しくしていますが、
時間ができたら、お花を習ってみようかと思ってます。」 
と女将の目が輝いていた。



             



ナマコと生アン肝をポン酢で頂き、クワイの素揚げとウメゴと針魚の酢味噌。
金目鯛と浅利の酒蒸しも美味しい。椀物は豚の三枚肉のように見えるが、
海老芋の摩り下ろしと車海老の叩きをサンドしてあるミルフィーユ仕立て。
キノコ餡でとじた上品な味わいだった。柚子釜はフグ白子の卵蒸し&鯖寿司。





来月にはフグ料理を予約したのだが、鉄刺や焼き河豚のようなものではなく、
河豚を色々な料理法で懐石風にして供し、最後は鍋にしてくれるそうだ。
天然で2万円以上の時価・養殖で良ければ\15,000との事。 
割り勘での宴会なので、メンバーが僕の懐を慮って「養殖」にしてくれた。